こんにちは。 東信会『絆』通信 11月号です。
秋も徐々に深まり、紅葉便りが聞かれる季節となってきました。
▾ 新型コロナウイルスの新規感染患者減少に伴い、10月25日から東京、埼玉、千
葉、神奈川、大阪の5都府県で飲食店に対する営業時間の短縮要請が解除されまし
た。東京、大阪では昨年11月以降、約11か月ぶりの解除となります。しかし制限
緩和に伴う人流増加、ワクチンの効果が減退してくる可能性、気温の低下や乾燥に
よるウイルス感染症が増加しやすくなる時期も重なり、第6波も危惧されます。
▾ 10月7日夜、首都圏で最大震度5強を観測する地震が発生しました。インフラへ
の影響や帰宅困難者の問題も認められ、今一度対策・備えの確認が必要と考えられ
ます。
今回はコロナウイルス感染症と地震・災害への備えに関して情報提供をおこなって
いきたいと思います。
令和3年11月 吉田智彦
最近の新型コロナウイルス感染状況
10月20日に開かれた厚生労働省の専門家会合は、全国の感染状況について新規感染者数の減少が続いていて重症者数もことし春の感染拡大前の水準以下になりました。
一方で、緊急事態宣言などの解除後、多くの地域で夜間の人出の増加が続いていて、感染者数が下げ止まることが懸念されるとしたうえで、今後の感染再拡大を見据えて、もう一段、感染者数を減らすことが重要だとしました。資料;厚生労働省オープンデータ
★大阪大学医学部感染制御学の忽那賢志教授いわく
『これから冬を迎え、気温と湿度が下がってコロナウイルスの感染が広がりやすい環境になる。さらに、早めにワクチン接種を受けた人は半年以上が経過するので感染予防効果が下がっているおそれもあり注意が必要だ。マスクの着用や3密を避けることに加え、飲食店などは感染対策をしているところを利用するなど、基本的な対策を続けてほしい。
※左図はワクチン接種人数の推移
おそらく第6波は、第5波よりも亡くなる人や重症者の割合は減ると考えられるので、軽症・中等症や宿泊療養の体制を充実させ、医療にかかれないまま自宅で亡くなる人が出ないよう医療の目が行き届くところで療養してもらうことが大切だ』と注意を呼び掛けています。
★世界保健機関(WHO)は10月26日、新型コロナウイルス緊急委員会の結果で、「ワクチン接種も、新型コロナウイルス感染症の治療も進んでいるものの、パンデミックは収束から程遠いことが示された」と結論付けた。「マスク着用と対人距離の確保、手指消毒、室内換気の改善は、引き続き新型コロナウイルスの感染を抑える上で重要だ」と強調しています。
【AFP=時事】
ブレークスルー感染とは
ワクチンを接種した後に感染することを「ブレークスルー感染」と呼びます。新型コロナワクチンの場合では、2回目の接種を受けてから2週間くらいで十分な免疫の獲得が期待されますので、それ以降に感染した場合にブレークスルー感染と呼んでいます。
免疫ができても感染してしまう訳
一度罹ると二度と罹らない感染症(A;麻疹や水ぼうそう等)もあれば、何度も繰り返し罹る感染症(B;インフルエンザやノロウイルス胃腸炎等)があります。
(A)ではブレークスルー感染は少なく(B)ではしばしば見られます。その違いは?・(A)では鼻や喉の粘膜からウイルスが侵入した後、扁桃やリンパ節でウイルスが増え、血流に乗って全身に拡がった後に発症します。つまりウイルスが入り込んでから発病するまで2~3週間の潜伏期があります。既に罹っていたり、2回ワクチンを接種したりして免疫ができている人では、抗体がウイルスをブロックしてくれるので発病しなくて済みます。また、抗体が少なくなってしまった人でも、感染してウイルスが侵入した時点で抗体の産生を再開し、ウイルスが血液の中に入って来る頃までには十分な量の抗体が出来るため二度と発病しないのです。
(A)
(B)
(B)の場合、鼻や喉の粘膜に侵入したウイルスはすぐそこで増殖を始め呼吸器粘膜を傷害して数日で発症します。ワクチンを接種して抗体があっても、呼吸器粘膜の感染を防ぐことは難しく発病を防ぐ効果も十分ではありません。
★新型コロナウイルスは(B)に該当し、鼻や喉の粘膜で増えて数日で発病し、肺に感染が及ぶと重症化します。血液中の抗体は鼻や喉の粘膜では効き目が弱く、感染を防ぐ効果はあまり強くありませんが、肺では重症化を防ぐ効果を発揮します。
★このように、一般に呼吸器感染症を防ぐワクチンの効果は、「重症化阻止効果>発病阻止効果>感染阻止効果」という序列があります。
デルタ株になって増えたブレークスルー感染
デルタ株は、ワクチンによって獲得された免疫が効きにくいと考えられています。ファイザー社や武田/モデルナ社のワクチンは非常に有効で、発病を防ぐ効果94~95%に加え、イスラエル(ファイザー製を使用)では感染そのものを防ぐ効果が91.5%と報告されました。しかし、イスラエルではデルタ株に置き換わってしまった結果、発病や感染を防ぐ効果が64%まで下がってしまいました(一方、入院を防ぐ効果は93%と高いレベルを維持しています)。
イスラエルでのワクチンの有効性の低下は、デルタ株に置き換わってしまったことに加え、2回の接種が終了してから半年前後経過してきていることも影響していると思われます。
そこでイスラエルを含む幾つかの国々では、ブレークスルー感染が増えて来たことを受けて3回目の接種を始めています。
ブレークスルー感染は軽症
ワクチン接種を2回済ませた人のブレークスルー感染はデルタ株に置き換わった後で増えて来ましたが、ワクチンによって重症化を防ぐ効果は高いレベルで維持されています。米国CDCのデータでは「ワクチン接種を済ませた人が、新型コロナウイルスのブレークスルー感染のために亡くなる恐れは0.001%未満」と報告されています。
ワクチン接種した人もこれまで通りの感染対策を
ワクチンを接種していれば、ブレークスルー感染が起こってもほとんどの場合、重症化を免れます。しかし、感染することはあるし、感染しても発病しないことも多いので自分ではそれと気付かないままでいます。もしマスクを着用しないで会話をしたり、3密の場所に出入りしたりすると、他の人にうつしてしまう恐れがあります。これまで通りの感染対策を続けていただきたいと思います。
厚生労働省新型コロナワクチンQ&Aより
地震・災害への備え
★首都圏で最大震度5強を観測した10月7日夜の地震では、4都県で53人の重軽傷者が確認され、主要駅では運転を見合わせた電車の運転再開やタクシーを待つ人たちで溢れました。東京駅では、新幹線の車両を一時滞在施設として開放し、翌日始発前までに約350人が利用したとの事でした。
★大地震が起きたとき、職場や学校が自宅から遠く離れている場合は、しばらくそこでとどまることになりますがそのための準備(約3 日分の飲料水、食料など)を確認します。また、安全な場所(仮眠室、ホール、会議室など)はどこかを確認しましょう。
★災害発生時、職場から自宅まで徒歩で帰宅できる距離だったとしても歩いて帰ることはとても大変です。途中で水や食料が足りなくなる、トイレが混雑して使えないといったことも考えられますため、普段から職場や学校に徒歩帰宅グッズを準備しておきましょう。
いざという時のために、歩いて帰る場合の経路を確認しておきましょう。
内閣府防災担当HPより
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