はじめに:リウマチは「治る病気」ではない?
- 関節リウマチは、体の免疫のバランスが崩れることで起こる病気です。
- 特に手首や指などの関節が腫れて痛くなり、放っておくと関節が変形してしまうこともあります。
- 残念ながら「完全に治す」ことは今の医学では難しい病気です。
関節リウマチは、昔は「不治の病」と言われていましたが、今では薬の進歩によって、かなり症状を抑えることができるようになりました。ただし「完治=もう一生薬がいらない状態」は非常に稀で、ほとんどの方が「寛解(かんかい)」を目指す治療を行っています。
寛解(かんかい)ってどういうこと?
- 寛解とは、症状がほとんど出なくなり、日常生活に支障がない状態。
- ただし、病気自体がなくなったわけではない。
- 医師の判断のもと、薬の量を減らすこともある。
リウマチにおいて「寛解」はとても大切な目標です。痛みや腫れが落ち着き、血液検査の数値も安定していれば、薬を減らすことができることもあります。ただし、自己判断で薬をやめるのは危険です。再発(再び悪くなること)のおそれがあります。
リウマチの発症とそのメカニズム
- 原因ははっきりとわかっていない。
- 自己免疫の異常が関与している。
- ストレス、喫煙、出産、遺伝などが関係することも。
リウマチは、自分の体の免疫が自分の関節を攻撃してしまう病気です。発症には複数の要因が重なります。10代で発症するケースもあり、決して高齢者だけの病気ではありません。女性の患者が多いのも特徴です。
早期発見・早期治療の重要性
- 発症から2〜3年が最も重要な治療時期。
- 骨や関節の破壊は、最初の数年で急激に進むことが多い。
- 早めに専門医に相談することが予後(病気の経過)を良くするカギ。
リウマチは早く見つけて治療を始めるほど、将来的な関節の変形や障害を防ぐことができます。最初の2年が勝負、と言われるのはこのためです。痛みやこわばりを感じたら、早めにリウマチ専門医に相談しましょう。
治療法の進歩と選択肢
- 内服薬(飲み薬):痛みや炎症を抑える。
- 注射薬・点滴薬(生物学的製剤など):強力に免疫を調整。
- リハビリ:関節の機能を保つ。
- 手術:進行した関節の修復。
特に「生物学的製剤」と呼ばれる注射薬は、重症のリウマチにも高い効果が期待できる新しい治療薬です。ただし副作用や費用の面で注意が必要です。2024年時点では、1本あたり3万円以上するものもありますが、公的保険制度や高額療養費制度を使えば自己負担額を抑えることが可能です。
寛解を目指す日常生活のポイント
- 体を冷やさない。
- 適度な運動と休息のバランス。
- 食事はバランスよく。特に抗炎症作用のある魚や野菜が◎。
- 無理をせず、家族や周囲の協力を得る。
朝は関節がこわばりやすいので、少し温かいシャワーで体を温めてから動くと良いです。関節に負担をかけないよう、調理器具や生活道具も工夫しましょう。例えば、電動缶切り、軽いフライパン、滑り止め付きの靴などが役立ちます。
治療を中断するとどうなる?
- 自然に治るケースはごくわずか(2〜10%)。
- 治療中断により関節破壊が進むケースが多い。
- 痛み止めだけでは根本治療にはならない。
自己判断で治療をやめると、取り返しのつかない関節のダメージにつながることがあります。特に一度損傷した関節は元に戻すことができません。通院の手間や副作用が不安な場合も、まずは医師に相談してみましょう。治療の選択肢は意外と多く、症状に応じた調整が可能です。
よくある質問(Q&A)
- リウマチは完治することはありますか?
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ごくまれに自然に治る人もいますが、基本的には寛解を目指す治療が一般的です。
- 妊娠中や授乳中も治療できますか?
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医師と相談のうえ、母体や胎児に影響が少ない薬に切り替えることが可能です。
- 年をとるとリウマチはおさまりますか?
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高齢になると症状が落ち着く方もいますが、悪化するケースもあるため油断は禁物です。
- 医療費が心配ですが支援制度はありますか?
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難病指定や高額療養費制度の活用が可能です。市区町村の福祉課や病院の医療相談室に相談を。
データで見る関節リウマチ
- 日本の患者数:約70〜80万人(厚生労働省推計)
- 男女比:女性が男性の約4倍
- 好発年齢:30〜50代
- 治療中断後に再燃する確率:高い(再燃率は60〜80%との報告も)
まとめ
- 関節リウマチは「完治」ではなく「寛解」を目指す病気。
- 寛解とは、症状が安定して日常生活に支障がない状態。
- 早期発見・早期治療が、関節破壊を防ぐ最大のポイント。
- 治療の継続がとても大切。中断はリスクが高い。
- 家族や周囲の理解・協力が治療継続の力になる。
- 医師と相談しながら、無理のない範囲で生活改善を心がける。
- 医療費の支援制度を活用して、経済的負担を軽くする方法もある。
リウマチと診断されても、今では多くの治療法があり、前向きに日常を送ることができます。大切なのは、自分だけで悩まず、医師や家族と協力しながら歩んでいくことです。完治は難しくても、希望をもって治療を続けましょう。