リウマチの関節以外に起こる症状
関節以外に起こる症状としては、以下のようなものが挙げられます。
- リウマトイド結節(肘や膝に痛みのない米粒〜豆粒大のしこりができます。)
- 肺障害
- 間質性肺炎・・・肺の中でガス交換をおこなっている肺胞と肺胞の間に炎症が起き、肺が繊維化して息切れや呼吸困難を起こします。リウマチがきっかけになって起こるものは重症化するケースは少ないものの、頻度が高いのでリウマチ治療中も注意深く観察していきます。
- 胸膜炎・・・肺の中に水がたまる病気。
- 心臓(心筋梗塞や心不全など)
- 骨粗鬆症(骨は3ヶ月ごとに破壊と形成を繰り返しています。炎症を起こしているとサイトカインが分泌され、サイトカインによって破壊と形成のバランスが悪くなって新しい骨を作りにくくなり、骨が脆くなります。ステロイドを治療に使っているケースでは、その副作用でも起きます。)
- 眼や口の異変(眼や口の中が乾燥しやすく、涙や唾液が出にくくなります。口内炎ができることもあります。眼は充血したり異物感を感じたりすることもあり、症状が出てきたら眼科治療を行います)
このほか、発熱・疲労感・息切れ・貧血・リンパ節の腫れなどもみられます。ただしこれらを合併症とみるか、治療薬の影響と見るかは判断が難しく、詳しい検査を行った上で治療薬からくるものであれば、治療薬の選択を見直しながらそれらの症状に対する治療も進めていきます。
早く治療を開始することが肝心
リウマチの治療開始は早ければ早いほど効果があります。リウマチのことがよくわからなかったころは、発症後ゆっくりと進行し、関節や骨の破壊は発症から10年くらい経ってから起こると考えられています。制度の良い検査機器がない時代は関節の外から見るしかなかったからです。
検査機器も検査方法も進歩するにつれて、実は早い時期から関節の内部では炎症がおきていて、破壊も始まっていることがわかってきました。まだ腫れや痛みを感じていない時期もすでに炎症は起きているのです。
下のラインが従来考えられていた関節破壊の予測です。一方で、上のラインは実際の関節破壊の度合いを示しています。実際には発症して4年ほどで一気に破壊が進行しています。できるだけ早く治療を開始して破壊の進行を食い止めることが何より大切だということはこのグラフからもわかります。
治療の効果が高く、破壊をしっかり食い止められるのは発症後から2年間であるとされています。4年ほどで病状が一気に悪化するため、そこまで放っておくわけにはいきません。前半の2年の間にスタートダッシュをすることが必要です。これを「Window of opportunity」と呼んでいます。直訳すると「機会の窓」で、治療効果の高い間だけ空いている窓ということです。
関節リウマチ治療では、治療に最適な限られた期間を表す言葉として用いられます。
つまり、リウマチ治療を実施するなら「機会の窓」が空いているうちに実施することがベストなのです。現在では、治療の好機は、症状が出てからおよそ1年以内とされています。できるなら6ヶ月以内に治療を開始したいものです。免疫細胞が何らかのきっかけで暴走を始めてしまい、炎症反応が激しくなるともう抑え込むのは難しくなります。そうしたスイッチが入る前に治療を始めることが、治療効果やその後の経過を左右するのは間違いありません。
初期症状の時点でこれはリウマチだと気付ける人はほとんどいません。強張りも朝夕のむくみのように思えますし、赤ちゃんを抱っこしている時期ならそのために腱鞘炎になったのかなと思いがちです。すぐに良くなるかなと思っていたら時間が経ってしまったという人もいます。でもそうして3ヶ月、さらに半年と経ってしまうと、窓が空いている時間がそれだけ短くなってしまいます。
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