はじめに
こんにちは。東信会『絆』通信令和4年4月号です。
春の日差しも心地よい季節になりました。ご自身の異動・転勤や、ご家族の卒業など、新生活が始まった方も多いかと存じます。新型コロナウイルスに関しては、まん延防止等重点措置が全面解除されて、人流増加とともに国内各地で感染者数が再び増加に転じています。
第6波のオミクロン株『BA.1』からより感染力の強い『BA.2』への置き換わりが急速に進み、自治体も専門家もリバウンドへ危機感を募らせています。今月の絆通信では、新型コロナがもたらした癌への影響、アルコールチェックの義務化、熱中症対策等に関して引き続き情報提供を行います。
はじめに
令和4年4月吉田智彦
新型コロナのもたらした『癌』への影響
新型コロナウイルスの感染拡大は、さまざまなところに影響を及ぼしている。横浜市立大学の研究グループは2022年3月2日、新型コロナの影響により、がん患者の診断患者数・切除患者数が大幅に減少している、という研究結果を発表した。
■医療機関への受診を控えたことが影響
全国のがん患者の7割をカバーする国立がん研究センター「院内がん登録全国集計」では、診断数の多い10種のがんを対象とし、2016~2019年度の患者数から推定される2020年度の予想値と、実際の診断患者数を比較して、患者数の多い食道がん・胃がん・大腸がん・直腸がん・非小細胞肺がん・乳がん・前立腺がん・子宮頚がんの8がん種で、診断患者数・切除患者数が大幅に減少していることを確認した。
各がんの診断患者数の減少数と減少割合
- 食道がん:2377人(9.2%)
- 胃がん:1万879人(12.0%)
- 大腸がん:8071人(8.3%)
- 直腸がん:3714人(8.6%)
- 非小細胞肺がん:7189人(7.7%)
- 乳がん:6942人(8.1%)
- 前立腺がん:7748人(11.5%)
- 子宮頚がん:2559人(8.4%)
- 膵がん: 966人(3.1%)
- 膀胱がん:1386人(4.1%)
この結果、5万1840人のがん患者が診断を受けられなかったと推定される。診断患者数の減少は、新型コロナの感染拡大により患者自身が医療機関の受診抑制を行ったためと考えられる。進行がんよりも早期がんでの診断数の減少割合が多くなっていて、がんの早期発見を阻害している。研究チームは、「2020年度の新型コロナを直接原因とする死亡数は3492人であり、その8倍のがん患者が切除治療の機会を失った」と指摘している。
2月10日、英文医学誌「European Journal of Cancer」
「低用量胸部CT(肺がん)、便潜血(大腸がん)、パップテスト(子宮頸がん)、マンモグラフィー(乳がん)等のマススクリーニングは死亡リスクを減少させるので是非実施してください。
■診断が1年以上遅れた場合、進行がんの割合が7%上昇するという推計も…
検診を受けるのは大事とわかっていても、とはいえすぐには受けれないし、どのくらい検査までの期間を伸ばすのはいいの?という疑問がある。
2021年初頭の米国の大腸がんに関する調査では、大腸がん検診で診断が遅れずに見つかった場合、74%が早期の段階(ステージ1、2)26%が進行した状態(ステージ3、4)と想定される。しかし1年以上の診断の遅れがある場合は、進行した状態は全体の33%まで増加すると推測されており、受診間隔をあけるというのはリスクであることは知っておく必要がある。
白ナンバーもアルコール検査義務化
これまで、有償で他社商品や人を運ぶ緑ナンバーの車両を有する事業者の「安全運転管理者」に対してアルコールチェックが義務化されていましたが、2022年4月より改正道路交通法施行規則が順次施行され、安全運転管理者を有する白ナンバーの事業者もアルコールチェックが義務化されます。
・義務化の対象
乗車定員が11人以上の自動車1台以上または白ナンバーの自動車5台以上を使用している企業では、事業所ごとに安全運転管理者の選任が道路交通法上で定められています。今回の改正で安全管理責任者の義務として4月から「運転者の酒気帯びの有無の確認及び記録の保存」、10月から「アルコール検知器の使用等」が追加されます。
科される罰則は?
アルコールチェックを怠った場合は安全運転管理者の業務違反となります。飲酒運転を行った場合は、道路交通法の酒気帯び運転等の禁止違反として、代表者や運行管理責任者などの企業内の責任者も5年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されるおそれがあります。法人に対しても罰金又は科料を課せられる可能性があります。会社としての対応不備によって飲酒運転が生じたといえるような場合には刑事責任が科される可能性があります。
よくある質問に対する回答を掲載しましたのでご覧下さい。国土交通省HPより
アルコール検知器について、国土交通省の推奨は行っておりません。
問題ありません。
問題ありません。
アルコールインターロック装置も含まれます。
運行管理者が車庫に出向き点呼を実施する必要があります。
電話点呼の際には、携帯型のアルコール検知器を携行し、点呼時に使用する必要があります。なお、遠隔地における電話点呼において、一定の要件を満たす場合には、他の営業所等のアルコール検知器を使用することができます。
飲食物(ガム、発酵食品等)、たばこ等の影響によりアルコール検知器が反応することがあります。この場合には、運転者にうがいをさせる、少し時間をおいてから再度測定する等により、対応してください。しかしながら、アフターシェーブローション、入れ歯安定剤など、体に付けるものでアルコールを含むものに反応することもあるので、運転者は、これらについてもアルコールを含まないものを使用するなど注意しましょう
熱中症の基礎知識
熱中症はどのようにして起こるのか? 環境省HPより
熱中症を引き起こす条件は、「環境」と「からだ」と「行動」によるものが考えられます。「環境」の要因は、気温が高い、湿度が高い、風が弱いなどがあります。「からだ」の要因は、激しい労働や運動によって体内に著しい熱が生じたり、暑い環境に体が十分に対応できないことなどがあります。その結果、熱中症を引き起こす可能性があります。
体温の上昇と調整機能のバランスが崩れると、どんどん身体に熱が溜まってしまいます。このような状態が熱中症です。
熱中症を予防するにはどうしたらよいの? 環境省HPより
- 無理をせず徐々に身体を暑さに慣らしましょう
- 室内でも温度を測りましょう
- 体調の悪いときは特に注意しましょう
熱中症予防×コロナ感染防止 厚生労働省HPより
マスクの着用により、熱中症のリスクが高まります
マスクを着けると皮膚からの熱が逃げにくくなったり、気づかないうちに脱水になるなど、体温調整がしづらくなってしまいます。暑さを避け、水分を摂るなどの「熱中症予防」と、マスク、換気などの「新しい生活様式」を両立させましょう。高温や多湿といった環境下でのマスク着用は熱中症のリスクが高くなるおそれがあります。