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リウマチ・膠原病と漢方などの東洋医学を融合した統合医療について情報発信しています。

全身性エリテマトーデス(SLE)ってどんな病気?症状・検査・治療のイメージ

2026 6/13
リウマチ 膠原病
2026年6月13日
目次

SLEとは

 全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus:SLE)は、自己免疫疾患(膠原病)の一種です。

通常、私たちの免疫システムはウイルスや細菌など外敵から体を守りますが、SLEでは免疫が何らかの原因で自分自身の細胞を攻撃してしまいます。その結果、皮膚、関節、血管、腎臓など全身の様々な臓器に炎症がおき、多彩な症状を引き起こすことがあります。

SLEの明確な発症原因はまだ分かっていませんが、50種類以上の遺伝子が関与することが分かっており、遺伝的な要因に加えてウイルス感染や強い紫外線、妊娠・出産、特定の薬剤など様々な誘因が重なって発症すると考えられています。男性よりも女性に圧倒的に多く、特に20~40代の女性に好発します(男女比は約1:9~1:10)。これは女性ホルモンの影響など複数の要因が関係していると考えられています。

また、日本では約6~10万人の患者さんがいると推定されており、指定難病として重症度に応じ公的支援の対象にもなっています。SLEと聞くと不安に感じるかもしれませんが、適切な治療と管理により日常生活を普通に送れている方も少なくありません。

主な症状

SLEは人によって症状の出方が大きく異なり、軽い症状のみの方もいれば内臓に障害が及ぶ方もいます。

特によくみられる主な症状を以下に挙げます。

  • 発熱(慢性的な微熱)
    • 原因不明の発熱が続くことがあります。炎症反応による発熱で、38度以上の高熱が出る場合は病状悪化の可能性もあるため早めに受診しましょう。
  • 関節痛
    • 手指や手首、肘、膝などの関節に痛みや腫れが生じます。関節リウマチのように見えますが、日によって痛む関節が変わる「移動性の関節炎」が特徴で、関節リウマチほど関節が破壊されることはほとんどありません。関節痛のために物をつかむ、歩く、階段を上るといった日常動作が困難になることもあります。
  • 蝶形紅斑(ちょうけいこうはん)
    • 頬から鼻にかけて蝶が羽を広げたような形に赤い発疹が出ることがあり、SLEを代表する皮膚症状です。やや盛り上がった赤い発疹で、日光を浴びると悪化しやすいという特徴があります。このため日光過敏症を伴う患者さんは多く、強い紫外線を浴びた後に皮疹や発熱が起こるケースも報告されています。
  • 倦怠感・易疲労感
    • 強いだるさや疲れやすさはSLEの患者さんに共通する症状です。疲労感により集中力や気力が低下し、日常生活に支障をきたすこともあります。十分な休養を取っても抜けない倦怠感が続く場合は、主治医に相談してください。
  • 腎障害(ループス腎炎)
    • 腎臓が侵されると尿にタンパクや血液が混じるタンパク尿・血尿が出現し、むくみ(浮腫)や高血圧を引き起こします。放置すると腎不全に至る恐れがあるため早期の治療が必要です。大量のタンパク尿や足のむくみが生じるネフローゼ症候群に進行したり、腎機能が低下して透析療法が必要になるケースもあります。

このほか、全身倦怠感、食欲不振、体重減少などの全身症状や、口内炎(痛みのない口腔内の潰瘍)、脱毛(髪が抜けやすくなる)、レイノー現象(寒冷やストレスで指先が白や紫色に変わる)など様々な症状が現れることがあります。また、まれに中枢神経の障害によるけいれん発作や精神症状、心臓・肺の膜の炎症(心膜炎・胸膜炎)、血液の異常(貧血や血小板減少)などが起こることも知られています。

一人ひとり症状の組み合わせは異なり、全く臓器障害のない軽症の方もいれば、複数の臓器に障害が及ぶ重い方もいます。特に腎臓や中枢神経、心臓・肺など重要な臓器が障害される場合は生命に関わることもあるため、専門医による的確な診断と治療が必要です。

生活上の注意点

SLEは長く付き合っていく病気ですが、日常生活の工夫や注意によって症状の悪化を防ぎ、体調を安定させることができます。

特に以下の点に気をつけましょう。

  • 紫外線対策
    • 強い日光(紫外線)は病気の悪化要因の一つです。日中外出する際は日焼け止めクリームを塗り、つばの広い帽子や日傘、長袖の服で肌を保護してください。曇りの日でも紫外線は降り注いでいるため油断せず、海やプール、スキー場など反射光が強い場所も注意が必要です。
  • 感染症の予防
    • SLEそのものや治療で免疫機能が低下し、感染症にかかりやすく重症化しやすい傾向があります。日頃から手洗い・うがいの励行、マスクの着用、人混みを避けるといった基本的な感染対策を心がけましょう。インフルエンザや肺炎球菌などのワクチン接種も主治医と相談のうえ検討してください。また、虫歯や歯周病予防のため口腔内を清潔に保つことも大切です。
  • 疲労との付き合い方
    • 過労や睡眠不足は症状悪化の引き金になります。規則正しい生活を送り、十分な休息と睡眠を確保しましょう。疲れやすい場合は無理をせず、家事や仕事・学業などは体調に合わせてペース配分してください。特に体が激しく疲れているときは思い切って休養を取り、疲労をためない工夫が必要です。ストレスも免疫に影響するため、リラックスできる時間を持ち心身の負担を軽減することが大切です。

よくある質問(FAQ)

SLEは治る病気なのでしょうか?

残念ながら、現時点ではSLEそのものを完全に治す根本的な治療法はありません。しかし、適切な薬物療法によって病気の活動性を抑え、症状のない状態(寛解)に導くことが可能です。いったん寛解になれば健康な人と変わらない日常生活を送ることもできます。

寛解=完治ではないため油断は禁物です。治療を自己判断で中断すると再び症状が悪化する(再燃する)ことが多く、継続的な治療と定期的な受診が必要です。

近年は治療法の進歩により適切な薬で病状をコントロールすることで、SLEでも安定した生活を送れる患者さんが増えてきています。実際、治療の飛躍的進歩によって予後は大きく改善し、数十年にわたり病気と付き合っている方も珍しくありません。焦らず主治医と二人三脚で治療を続ければ、病気と折り合いをつけながら生活できる可能性が十分にあります。

SLEの患者でも妊娠・出産は可能ですか?

はい、SLEの患者さんでも妊娠・出産は可能です。実際、SLE患者さんの妊娠しやすさ(受胎能力)は一般の女性とほぼ同じであることが示されています。

SLEの妊娠はハイリスク妊娠と位置づけられ、妊娠中に病状が悪化(再燃)したり流産・早産など妊娠合併症のリスクが高いことが知られています。そのため、妊娠を希望する場合は計画的な妊娠が大切です。病気が安定している時期に主治医と相談し、胎児に影響のある薬剤の調整を行ったうえで妊娠に臨みます。

SLEの妊娠・出産について経験豊富な産科とも連携しながら経過を慎重に管理すれば、無事に出産できるケースがたくさんあります。「SLEだから妊娠をあきらめなければいけない」ということは決してありませんので、主治医に遠慮なく希望を伝えてください。

家族にSLEが遺伝する可能性はありますか?

SLEは遺伝的素因(なりやすさ)も一因ではありますが、いわゆる遺伝病と呼ばれるほど強い遺伝性を持つ病気ではありません。親がSLEだからといってお子さんが必ず発症するわけではないので、過度に心配しすぎる必要はありません。

一般の方よりご家族で発症する頻度がやや高い傾向はありますが、発症にはホルモンや環境要因、免疫の異常など複数の条件が重なる必要があります。実際、遺伝子が全く同じ一卵性双生児であっても、双方がSLEになるのは約25~60%程度に留まり、全員に起こるわけではありません。このことからも、SLEは家族に必ず遺伝する病気ではないといえます。

受診案内

SLEが疑われる症状がある方や、すでにSLEと診断されて治療中の方は、リウマチ・膠原病の専門医がいる医療機関への受診をおすすめします。SLEは全身に関わる病気のため、内科系の複数分野にわたる総合的な管理が必要です。

例えば東京都新宿区の世田谷リウマチ膠原病クリニック新宿本院 は、日本で初めてリウマチ・膠原病診療を専門に行うクリニックとして開院した医療施設で、エキスパートの医師チームが最先端の治療にあたっています。当クリニックでは西洋医学による治療に加え、必要に応じて漢方や鍼灸など東洋医学も取り入れた統合医療で患者さんをサポートしています。

このほか、国分寺市などにも関連クリニックがあり、地域の皆様が専門的な医療にアクセスしやすい体制を整えています。SLEは長期にわたるフォローが欠かせない疾患ですので、不安なことがあれば一人で抱え込まずに専門医療機関にご相談ください。

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この記事を書いた人

吉田智彦 医療法人社団東信会 世田谷リウマチ膠原病クリニック統括院長

【資格】
医学博士,日本内科学会総合内科専門医,日本リウマチ財団リウマチ登録医,日本リウマチ学会リウマチ専門医,日本リウマチ学会リウマチ指導医,日本リウマチ学会評議員,日本医師会認定産業医,身体障害者申請医(肢体不自由)
【専門領域】
関節リウマチ全般,リウマチ膠原病患者の妊娠希望者診察,膠原病一般 など

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