リウマチの進行状況が正確にわかるようになった
リウマチの進行状況が正確にわかるようになったのは、正確な関節画像の検査を行うことができるようになったからです。画像検査がされていない時代は、医師が関節などを外側から見て、腫れの有無や形状のみで病状を判断していました。内部でひっそりと進行している関節・骨破壊はとてもこの時期にはわかりません。
骨の状態はわかるレントゲン(X線)が使われるようになっても、精度が低かった頃は細かな破壊はわかりませんでした。はっきりわかる破壊となれば、それはもうすでに進行してしまったものです。今ではレントゲン検査も精度が向上し、軟骨などの柔らかい組織は見られないものの、骨の萎縮や変形、脱臼の有無などの判断材料にはなります。そのほか、超音波検査(エコー)では滑膜炎や滑膜の熱さとか関節液の溜まり具合、骨の損傷の有無など、関節の現状を手軽に確認することができるようになっています。超音波は放射線被ばくの心配がなくて患者さんへの負担が少ないので多くの関節を調べるのにも向いています。さらに必要な場合は、MRI(核磁気共鳴画像法)なども使われ、骨や周辺の軟骨の内部や滑膜が炎症を起こしていることも目でわかるようになりました。
リウマチの血液検査
血液検査も充実しています。初診でリウマチかどうかを診断するために見ているのは、リウマトイド因子、抗CCP、(抗シトルリン化ペプチド)抗体、血沈、CRP(C反応たんぱく)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-3(MMP-3)です。
リウマトイド因子とは?
リウマトイド因子とは、リウマチの素質があるかどうか見るものです。一般的な健康診断でも採血の項目に入っている場合もあります。血液中にリウマトイド因子があるかどうかを調べる検査で、免疫反応でとても重要な役割を果たす免疫グロブリンG(1gG)に対してできた自己抗体のことを言い、リウマチ反応とも呼ばれています。リウマトイド因子の値が高い人ほど病気の期間が長く、関節・骨破壊に進みやすいという傾向があります。
ただし、リウマチ患者の75%は陽性となるものの、残りの25%は陰性と出てしまいます。肝硬変や慢性肝炎、結核の場合でも、稀にには健康な人でも陽性と出てしまいます。これだけではリウマチ患者を全てすくい取ることはできません。正常値を超えたらすぐリウマチの可能性とは考えず数値が40mg/dlを超えてくるとリウマチの可能性を考え、100mg/dl以上になるとリウマチの可能性が高いことを前提に他の病気ではないかどうかの検査も実施します。300mg/dl以上になるとリウマチの可能性が高いことを前提に関節や骨破壊がないかどうかも詳しく調べます。
抗CCP抗体について
抗CCP抗体はごく初期のリウマチでも血液中に検出される物質なので、早期診断が可能です。2007年(平成19年)から保険適用になった検査で、現在は初診の検査のうちで最も重要視されています。この検査で基準値の3倍の数値が出た場合は、リウマチの進行が早いタイプであるため、早期から強めの治療を実施していく必要があります。リウマチ患者でこの二つとも陰性と出てしまう人も稀にいます。そのような場合はリウマチの炎症の度合いを示す、いわゆる血沈と呼ばれる赤血球沈降速度(赤沈)検査とCRPという検査の数値をみます。炎症の度合い=活動性です。数値が高くなるほど活動性が高いといえます。
マトリックスメタロプロテイナーゼ-3について
マトリックスメタロプロテイナーゼ-3というのは、滑膜組織から作られる抗体のことで関節内の炎症が悪化すると量が増加します。リウマチ診断の補助的に使われる他、今後の通院時にも行い、治療薬がどの程度の効果を上げているかを調べる材料としています。効果を調べるためには、ビフォーアフターのうちのビフォーがわからないと比べられないので、これも診断時に調べています。
実際に関節を触る触診
画像検査と血液検査のほか、いちばん大切なことは専門医が実際に関節を触ってみる触診です。検査データだけでは得られない熱感や関節の硬さ、柔らかさなどを細かく観察します。最近ではデータばかりを重視する医師が多いのも否めませんが患部に直接触れてこわばりの有無などの異常についても細かく観察できる医師であるかどうかは、主治医選びの大切なポイントとなります。