リウマチは遺伝する?
家族にリウマチになった人がいる場合、リウマチが親から子供に遺伝するかどうかは特に気になることです。遺伝子研究所が途上の今、これもまたはっきりと解明されていないのですが3親等以内の発症に限っていえば、発症する確率は3割程度です。また、親から子供へリウマチが遺伝する確率は10%以下であるという報告があります。
一卵性双生児の一人がリウマチの場合
一卵性双生児の一人がリウマチの場合、もう一人もリウマチを発症する確立は15〜34%という報告もあります。ただ、逆にいえば一卵性双生児でも残りの66〜85%は発症しないことになります。
遺伝よりも体質的な関係が要因
リウマチ発症者が家系に一人もいなかった場合の発症率は0.5%あるのに対し、発症者の兄弟姉妹が新たに発症する割合は5%というデータもあります。これらの数値を高いととるか、そうでないととるかは明確な遺伝病ではなく、遺伝という体質的な関係の要因の方が大きいのではとの指摘もあります。
つまり、親がリウマチだったからその子供も必ずリウマチになるというわけではないのです。とはいっても可能性がゼロではないため、自分の子供にリウマチが発症するのではないかと心配する親世代の患者が多いことも事実です。この場合も前向きに捉えて、発症するリスクは少なからずあるのだと早い段階で意識して先手の予防策を講じることもできますし、リウマチの初期症状かどうかわからない状態が長く続いて受診が遅れることは避けられます。家族にリウマチの人がいたという患者でも、こうして前向きに捉えていたことで早期発見、早期治療ができて日常生活に支障が出る状況を避けられたという人はたくさんいます。
リウマチの根本原因は未解明
リウマチの発症がどのようにして起きるのか、その原因はいまだに不明ではありますが、関節の炎症や痛みが起こるメカニズムについて研究が進んできてかなり解明されるるあります。リウマチは自己免疫疾患で、免疫細胞の誤作動によって起こるとされていて、この誤作動のカギを握るのがリンパ球などの免疫細胞です。リンパ球は自分の体にとっての異物を認識すると異物を攻撃するための抗体を作り出します。
免疫が正常に働いている時にはその機能が侵入してきたウイルスから体を守るために働きますが、リウマチの場合、手足などの関節を包んでいる滑膜という組織のタンパク質を異物と認識してしまい、抗体を作り出して自分の体を攻撃してしまいます。
ちなみにこの時作られる抗体は自己抗体と呼ばれ、リウマチの代表的な自己抗体にはリウマトイド因子などがあります。攻撃が始まると滑膜にはどんどん免疫細胞が集まってきて、リンパ球の一種のT細胞やマクロファージという大型の免疫細胞が大量のサイトカインという物質を放出するようになります。サイトカインとは細胞間の情報のやり取りに使われる物質で免疫細胞と共に滑膜細胞の働きを活性化し、激しい反応が生じます。これが腫れや痛みを起こす炎症の作用の仕組みです。
リウマチに関わる代表的なサイトカイン
リウマチに関わる代表的なサイトカインとしてはTNF-α(腫瘍壊死因子)やIL-1(インターロイキン-1)、IL-6などがあり炎症を強める作用があるので炎症性サイトカインとも呼ばれます。
こうした炎症性サイトカインは滑膜で炎症を悪化させるだけでなく、骨を壊す破骨細胞も活性化させるため関節軟骨や骨も徐々に破壊されてしまいます。また、サイトカインやプロスタグランディンなどの発痛物質が血液に乗って全身に運ばれるので全身のさまざまな関節や筋肉に痛みや炎症を起こします。
関節の周囲には多くの神経が通っていて、滑膜細胞や関節液が増殖することによって神経が圧迫されることでも関節に腫れと痛みを起こします。
リウマチを発症した場合は、免疫細胞が滑膜を攻撃し始めてしまい、炎症を起こすのです。すると滑膜は膨れ上がり、さらには滑膜細胞が増殖して盛んに関節液を分泌するようになります。この時の関節液には炎症性サイトカインなどの発痛物質が多量に含まれ、痛みを引き起こします。
関節の周囲には多くの神経が通っていて、滑膜細胞や関節液が増殖することによって神経が圧迫されることでも関節に腫れと痛みを起こします。
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