夢や希望を実現するオーダーメイドの治療
リウマチの好発年齢は30〜50歳代ですが、さらに若い世代または高齢者でも発症します。長い人生においてはそのときどきに叶えたい夢や希望も変化します。リウマチと長くつき合っていくためにも、リウマチを発症していなかったときと同じようにそのときどきの夢や希望を諦めないでいてほしいのです。それを叶えるための治療方法は必ずあります。その方法はSDMなどの助けによって、患者と医療者で一緒に探していくことができます。
例えば妊娠・出産など少し先のことを見据えて薬の選択を行っていかなければならないこともあります。少し先の夢や希望があるなら、たとえば人生にわたる夢の計画表などを作って医療者に提示します。同じ夢や希望を早く共有でき、目標をしっかり定められて途中経過を随時評価しながら、目標達成までの時間を早めることもできます。これがリウマチにおける患者自身の人生に寄り添ったオーダーメイドの治療です。
妊娠・出産でいうと、私たち医療チーム一丸となって、10年以上も前からリウマチ治療で先行している海外の研究データを基に経験を重ねてきました。今では年間数十人の人が出産に至っています。
妊娠が射程に入っているときは、妊娠しても問題のない薬を使用しますが、もしリウマチの症状が良くない時は、一度タイトにコントロールをしてリウマチが安定した状態で再び妊娠にトライしてもらいます。妊娠・出産の例に限らず、どんな夢・希望にも応えていくには医療者側も常に最新のリウマチ医療のスキルアップをしていくことが必要です。
現代医学(西洋)と伝統医学(東洋)の統合医療
私は大学病院に勤務していた頃から、東洋医学に関心をもっていました。リウマチ治療の世界に革命的なことがどんどん起きている頃でしたから、西洋医学における治療を必死に学んで実践していました。
ただ、一方では西洋医学ではどうしても補いきれないものもあると感じていました。東洋医学の道に進んだ仲間がいたことで、そのようなことを考えることも増えてきました。大学病院の外来で、私が患者の自宅での様子を丁寧に聞くと、帰りに漢方薬局に寄るとか、実は長らく鍼灸院にも通っていたという声が聞かれました。西洋医学だけを看板に掲げていると、漢方や鍼灸も利用しているという情報が医療者になかなか伝わってきません。
西洋医学には西洋医学の、東洋医学には東洋医学の良いところがあります。リウマチ治療の目標は炎症の緩和と骨破壊の抑制なので、そこは最先端の西洋医学の力を借ります。しかし、ちょっとした副作用の症状を抑えたいとき、例えばステロイドを使いたくない人の場合、漢方薬の併用が有効だということを知りました。幸いにも東洋医学に進んだ仲間の協力を得ることができ、私のクリニックでは西洋医学と東洋医学の統合医療を行っています。
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