実は身近な難病「関節リウマチ」──女性に多く発症しやすい疾患です
2025年5月23日、世田谷リウマチ膠原病クリニック新宿本院では、「実は身近な難病、女性に多い『関節リウマチ』セミナー Vol.1」が開催されました。本セミナーでは、関節リウマチの症状や診断、治療法について医療法人社団東信会 総括院長の吉田智彦医師が解説しました。
主催:医療法人社団東信会
- 関節リウマチってどんな病気?
- その症状はリウマチ?早期発見のポイント
- 目覚ましく進歩したリウマチ治療について
- 更年期、加齢や膠原病の関節痛について
関節リウマチとは?自己免疫が原因の炎症性疾患
関節リウマチ(RA)は、自己免疫の異常によって関節内の滑膜に炎症が生じる疾患です。放置すると軟骨や骨が破壊され、関節の変形や強い痛み、可動域制限を引き起こします。
- 初期症状
- 手指や足の関節にこわばりや腫れ、左右対称性の痛み
- 全身症状
- 倦怠感、微熱、貧血、食欲低下
- 進行すると
- 手指の変形、日常生活に支障が出る可能性も
歴史的にもその痛みは古くから知られており、山上憶良の『続日本紀』には、関節リウマチと推定される痛みの描写が記されています。
関節リウマチの症状チェックリスト
次のような症状に心当たりがある場合は、早めの医療機関受診が推奨されます。
- 朝起きたときの関節のこわばり
- 手や足の左右対称の関節痛
- 関節の腫れや熱感
- 複数の関節に症状がある
- 持続する倦怠感や微熱
関節リウマチの有病率と好発年齢
- 日本における関節リウマチの有病率は0.6〜1.0%
- 患者数は全国で約70〜80万人
- 女性は男性の約4倍かかりやすく、発症のピークは女性では40代後半〜50代(閉経前後)
発症要因(疫学的リスク因子)
- 遺伝的背景:HLA-DR4などの遺伝子
- 環境要因:喫煙や歯周病(Porphyromonas gingivalis)
- ホルモン要因:女性ホルモン(エストロゲン)の関与が示唆されています
関節リウマチは「膠原病」の一つです
関節リウマチは、膠原病の一種に分類されます。膠原病とは、自己免疫の異常により全身の結合組織に炎症が起きる疾患群のことです。
他の代表的な膠原病
- 全身性エリテマトーデス(SLE)
- 強皮症(SSc)
- 多発性筋炎・皮膚筋炎(PM/DM)
- シェーグレン症候群(SS)
- 混合性結合組織病(MCTD)
- 血管炎症候群 など
関節リウマチの診断と早期発見の重要性
診断のポイント
- 2010年 ACR/EULAR分類基準に基づき、滑膜炎の有無、抗体、炎症反応などでスコア化。
- 6点以上でRAと診断されます。
血液検査で使用される主な項目
- 抗CCP抗体:特異度95%以上、早期診断や予測に有効
- リウマトイド因子(RF)
- MMP-3
- 抗核抗体:膠原病との鑑別に使用
その他の検査
- 関節エコーやMRIによる滑膜炎・骨びらんの可視化
- 触診による圧痛・腫脹評価
世田谷リウマチ膠原病クリニックの診療実績と専門性
医療法人社団東信会グループでは、関節リウマチをはじめとする膠原病の診療に長年取り組んでいます。
全身性エリテマトーデス(SLE)患者数:575名
海外からの受診実績あり
香港、台湾、天津、スイス、オランダ、イギリス、ロサンゼルス、フロリダ、ペルー、ハワイなど、国際的にも信頼されている医療体制を構築しています。
関節リウマチが心配な方へ|簡易診断と情報提供
世田谷リウマチ膠原病クリニックでは、「世田谷リウマチ簡易診断」を通じて、自分の症状リスクを手軽に確認できます。早期受診のきっかけづくりにご活用ください。
関節リウマチの疑いがある方は早めの受診を
関節の痛みやこわばり、全身の不調が続く方は、放置せずに医療機関へ相談しましょう。早期治療によって、寛解(病状が落ち着く状態)を目指すことができます。