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リウマチ・膠原病と漢方などの東洋医学を融合した統合医療について情報発信しています。

冷え・むくみ・だるさ…「検査値はいいけどつらい」症状に、漢方ができること

2026 2/18
お知らせ
2026年2月18日
目次

はじめに:検査では異常が出ない不調に悩む方へ

「体が冷える」「足や手がむくむ」「なんとなく体がだるい」といった不調に悩んでいるのに、病院の検査では「異常なし」と言われて戸惑った経験はありませんか。

西洋医学では、このように検査で原因が特定できない体調不良を不定愁訴と呼びます。

一方、漢方の世界では、病気とまではいえない未成熟な不調の状態を「未病(みびょう)」と位置づけ、早めにケアすることが大切だと考えます。実際、「どの病院に行っても検査に異常がないと言われるけれど体調がすぐれない」という段階でも、漢方薬によって体質を整え症状の軽減を図ることが可能です。

漢方の考え方:気・血・水のバランスと“証”の視点

 漢方医学では、人間の体を巡る「気・血・水(き・けつ・すい)」という3つの要素のバランスが健康の鍵になると考えられています。

気はエネルギー、血は血液や栄養、水は体内の水分全般を指し、これらがスムーズに巡っていれば体調は良好ですが、ひとつでも不足したり滞ったりすると不調や病気につながります。実際、冷え症は「気・血・水」のバランスが崩れた状態であり、体を内側から整えて巡りを良くすることがつらい冷え症を体質から改善するポイントになります。

また、漢方では一人ひとりの体質や症状の現れ方を「証(しょう)」として見立て、オーダーメイドの処方を行うのが特徴です。同じ「だるさ」や「むくみ」という症状でも、その原因が「気」が不足しているのか、「血」の巡りが悪いのか、「水」が滞っているのかによって対処法が異なるためです。

漢方専門医は、脈や舌、お腹の状態まで含めた独自の診察法で体全体のバランスを診断し、その人に最も合った漢方薬を選びます。こうした漢方的な視点で原因をひも解くことで、検査では見えない不調の正体が見えてくることもあります。

冷え・むくみ・だるさに対する漢方のアプローチ

冷えにアプローチする漢方

手足や腰など体の冷えに悩む方に対して、漢方では体を内側から温め、血行を良くする処方を用います。

たとえば貧血ぎみで足腰が冷える女性には、血(けつ)を補いながら水分バランスを整えて体を温める代表的な漢方薬である当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)が用いられます。当帰芍薬散は「婦人科三大処方」の一つとも言われ、冷え症やむくみ、貧血傾向のある更年期女性の不調改善にもよく使われます。

一方、手足が氷のように冷えて関節が痛むようなタイプの冷えには、桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)のように体を芯から温める作用の強い処方が適しています。このように、冷えの原因や体質に合わせて漢方薬を選ぶことで、体の内側からポカポカと温まりやすい状態へ導いていきます。

むくみにアプローチする漢方

顔や手足のむくみに対しては、体内の余分な水分(湿)が滞っている状態と捉え、利水(りすい)といって水の巡りを促す漢方で対応します。

たとえば、疲れやすく汗っかきで水太りの傾向がある人のむくみには、余分な水分を排出してむくみや倦怠感の改善を図る防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)という処方がしばしば用いられます。実際、防已黄耆湯は「水滞体質」と呼ばれる水分代謝が悪いタイプの体質に適し、下半身のむくみが気になる肥満傾向の方によく処方されます。

一方、塩分や水分のとりすぎによる一過性のむくみには、五苓散(ごれいさん)のように胃腸の余分な水分をさばいて利尿を促す処方が効果的なこともあります。このように、その人のむくみの出方や体質に応じて漢方でアプローチすることで、手足のパンパンした不快感も次第に改善していくでしょう。

だるさ・疲労感にアプローチする漢方

朝から体が重い、休んでも抜けない疲労感があるといった倦怠感(だるさ)は、漢方では「気」の不足によるものと考えます。十分な気(エネルギー)が体内に巡っていない状態を「気虚(ききょ)」といい、気虚では倦怠感のほかにも食欲不振や息切れなど様々な症状が現れます。この場合、弱った胃腸を立て直しエネルギーを補う漢方薬で体力の底上げを図ります。

代表的な処方が補中益気湯(ほちゅうえっきとう)で、慢性的な疲れやすさを感じる方の“気”を補って元気をつける効果があります。さらに、長引く疲労で血(けつ)も不足する「気血両虚」の場合には、人参養栄湯(にんじんようえいとう)のように気と血の両方を補って全身の滋養強壮に働く処方が用いられます。

漢方で体のエネルギー源である気・血をしっかり補うことで、「病気ではないけれど常にだるい」という状態から少しずつ抜け出し、日常の活力を取り戻すことが期待できます。

漢方で改善が期待できる理由

西洋医学のお薬が特定の症状や数値を一時的に抑える対症療法だとすると、漢方は体質そのものを整えて不調の出にくい体づくりを目指す根本治療に近いアプローチです。漢方薬には複数の生薬がバランス良く配合されており、一つの処方で複数の症状に同時に対応できるものが多いことも特徴です。

例えば「関節が痛くて胃腸の調子も悪い」という場合に、一種類の漢方薬で関節痛と胃腸症状の両方に働きかけることも可能です。このような包括的なケアは、西洋医学の単一成分の薬にはない漢方の強みと言えるでしょう。

また漢方薬は、適切に用いれば西洋薬に比べて副作用が少なく体にやさしい点もメリットです。即効性では西洋薬に劣る場合もありますが、その分、日々飲み続けてゆるやかに体調を改善していくことができます。

特に冷えや疲れやすさといった慢性的な不調のケアは漢方の得意分野であり、病気と診断されない未病の段階から体調を整えることで、将来的な大きな病気の予防にもつながります。漢方は「検査値には現れないつらさを何とかしたい」という方にとって、心強い選択肢となるでしょう。

生活改善のポイント:漢方的セルフケアのススメ

漢方による治療と併せて、日頃の生活習慣に少し気を配るだけでも不調の改善に大きく近づきます。特に「冷え」と「ストレス」は万病のもととも言われ、リウマチや更年期の症状を悪化させる要因です。

日常生活でも、次のような漢方的セルフケアを心がけてみましょう。

  • 体を冷やさない
    • 手首・足首・お腹・首元など「首」のつく部位を中心に温かい服装を意識しましょう。夏場でも冷房で体が冷えすぎないよう、室内では靴下や上着で調節します。お風呂はシャワーですませず、約38〜40℃の湯船に15分以上ゆっくり浸かって体の芯から温める習慣をつけましょう。
  • 飲食の工夫
    • 冷たい飲み物や体を冷やす生野菜・果物ばかり摂るのは避け、なるべく温かい食事や飲み物を摂るようにしましょう。ショウガやネギなど体を温める食材を料理に取り入れるのもおすすめです。
  • ストレス対策
    • ストレスは「気」の巡りを滞らせ、不調の大きな原因になります。深呼吸や瞑想を習慣にしたり、趣味の時間を持つなど、自分なりのリラックス法でストレスを溜め込まない工夫をしましょう。心が安定すると自律神経のバランスも整い、体全体の調子が上向いてきます。
  • 睡眠・休養
    • 十分な休息をとることも、漢方的ケアでは重要です。睡眠時間は6〜8時間を目安に、できるだけ規則正しい生活リズムを維持しましょう。質の良い睡眠は体力(気)を養い、疲労回復を助けてくれます。
  • 適度な運動
    • 筋肉を動かすことは血行を促進し、冷えやむくみの改善につながります。逆に長時間同じ姿勢でいると血流が滞って足のむくみを招きやすいので、無理のない範囲で軽いストレッチや散歩などを日課に取り入れてみましょう。筋力アップは冷えにくい体づくりにも有効です。

よくある質問(FAQ)

漢方薬は飲んでどのくらいで効果が出ますか?

西洋薬のように即座に症状を抑える効果は期待しにくいものの、体質に合った漢方薬を続けることで少しずつ体調の変化が現れてきます。症状や体質にもよりますが、早い方では数日〜数週間で睡眠の質が良くなる、お通じが整うなどの変化が見られることもあります。

一方で、冷えや慢性的な疲労感といった長年の不調ほど改善に時間がかかる傾向があり、数ヶ月以上の服用が必要なケースもあります。漢方の効果はゆるやかに積み重なるものですので、医師と相談しながら焦らず継続することが大切です。途中で体調に変化があれば、処方を微調整して対応することも可能です。

漢方薬に副作用はありますか?

漢方薬は天然由来の生薬で構成されており、適切に用いれば西洋薬に比べて副作用が少ないとされています。しかし「天然だから絶対に安全」というわけではなく、漢方薬もれっきとした薬ですから副作用がゼロではありません。まれに漢方薬の成分によって発疹・かゆみ、下痢などが生じたり、体質に合わない場合は症状が悪化することもあります。例えば、多くの漢方処方に含まれる甘草(カンゾウ)という生薬を長期間大量に服用すると、偽アルドステロン症といってむくみや血圧上昇などの副作用が現れることがあります。

とはいえ、これらは用法用量を守れば防げる副作用ですし、医師の管理下で定期的に血液検査等を行いながら服用すれば過度に心配する必要はありません。漢方薬は一人ひとりの体質に合わせて処方されますので、自己判断で市販薬を乱用せず、専門医の指導のもとで安心して服用を続けるようにしましょう。

現在飲んでいる西洋薬と漢方を併用できますか?

はい、多くの場合漢方薬と西洋薬の併用は可能です。実際、関節リウマチの治療でも西洋薬だけでなく漢方を併用するケースが増えており、たとえば炎症を抑える西洋薬と並行して冷えやむくみ、だるさを和らげる漢方薬を使う、といった形で治療に取り入れられています。双方のメリットを活かすことでよりバランスの取れたケアが可能になるからです。

漢方薬には西洋薬の副作用を和らげたり、体力を補って治療をサポートしたりする効果も期待できます。もちろん併用にあたっては薬同士の相互作用など注意も必要ですから、必ず主治医に相談した上で開始しましょう。専門医の管理のもとであれば、漢方と西洋医学を上手に組み合わせてメリットを最大限引き出すことができます。

専門医による受診案内

「検査では異常がないのにつらい不調」が続く場合、一人で悩まず専門の医師に相談してみましょう。

世田谷リウマチ膠原病クリニック新宿本院 では、西洋医学による先進的なリウマチ・膠原病治療と、漢方治療を組み合わせた統合医療を実践しています。リウマチ科の医師と漢方の医師が緊密に連携し、漢方薬の保険診療を通じて患者さまの症状緩和やステロイド剤の減量にも取り組んでいます。検査では捉えにくい冷えやむくみ、だるさといった不調についても、漢方の視点を取り入れたオーダーメイドのケアでサポートいたします。

冷え・むくみ・だるさを感じている方は、一度漢方的なアプローチも検討してみてはいかがでしょうか。きっと今のあなたの体質に寄り添った、無理のないケアが見つかるはずです。お気軽に世田谷リウマチ膠原病クリニック新宿本院にご相談ください。

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この記事を書いた人

吉田智彦 医療法人社団東信会 世田谷リウマチ膠原病クリニック統括院長

【資格】
医学博士,日本内科学会総合内科専門医,日本リウマチ財団リウマチ登録医,日本リウマチ学会リウマチ専門医,日本リウマチ学会リウマチ指導医,日本リウマチ学会評議員,日本医師会認定産業医,身体障害者申請医(肢体不自由)
【専門領域】
関節リウマチ全般,リウマチ膠原病患者の妊娠希望者診察,膠原病一般 など

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