昔から関節リウマチには温泉がよいといわれていますが、どのような効果があるのでしょうか。
ここでは、ドクター監修のもと、関節リウマチにおける入浴のポイントや期待できる温泉の効果、注意点などについて解説します。
温泉療法の効果とは
温泉に入って病気を治す「湯治(とうじ)」は、古くから伝わる文化です。今でも有名な湯治場には、病に悩む多くの人々が訪れています。もちろん、関節リウマチも例外ではありません。
さて、実際のところ、その効果はどうなのでしょうか。
関節リウマチと温泉
昔から関節リウマチには、温泉における鎮痛作用が効果的だといわれてきました。しかし、現代の治療法は、薬物療法が主です。
温泉療法の効果や、正しい方法もよくわからないまま、せっかく温泉に出掛けても「気持ちよかったけど、効果はよくわからなかった」という声も少なくありません。
- 温泉療法を活かすためのポイントは、温度と入浴時間
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関節リウマチには、40℃前後の温度が効果的です。しかし、多くの温泉は42~43℃と高めの温度設定です。
さらに、効果を得るための入浴時間は最低でも15分程度と、ゆっくり身体を温めることが必要です。ちなみに、現代人の平均的な入浴時間は2分にも満たないそうです。熱いお湯にさっと浸かるだけでは、本来の効果を得にくいでしょう。
もちろん、当日のコンディションも重要です。熱があるとき、関節炎が急に進行しているとき、出血しているときなどは禁忌です。症状が落ち着いていて、全身のコンディションがよいときに入浴しましょう。
リウマチに期待できる温泉効果
では、温泉に入ることでどのような効果が期待できるのでしょうか。次の3点があげられます。
- 温熱効果
- 体全体をしっかり温めることで筋肉が弛緩し、血流が整えられるので、慢性的な痛みを和らげます。また、炎症によって分泌された物質など老廃物の排出もサポートします。
- 水がもつ物理的な効果
- お湯のなかでは浮力が働くため、足や関節にかかる負担が軽減されます。また、水圧によって筋肉に適度な刺激を与えます。
- 泉質による効果
- 泉質の硫化水素や二酸化炭素には、血管を拡張させる作用があるといわれています。血行促進や痛みの軽減が期待できます。
そして、関節リウマチの場合は、湿度が低く高気圧で、標高の低い温泉地がおすすめです。泉質は問いませんが、血流を高めて代謝をサポートする食塩泉、硫黄泉、硫酸塩泉、炭酸泉などが適しています。
また、早朝と夜遅い時間の入浴は交感神経に作用するため避けてください。
まとめ
現在の医療をもっても関節リウマチを完治させることはできません。治療するうえでのポイントは早めの診断と進行を抑えることです。
そのなかで、生活の質(QOL)を高めるための方法として温泉を取り入れてみるのはいかがでしょうか。

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